システム開発において基本設計は、要件定義で決めた機能を具体的にどのように実現するかを設計する重要な工程です。基本設計書を作成することで、詳細設計への橋渡しを行い、プロジェクトの成功に直結します。本記事では、基本設計の進め方を4つのステップに分けて詳しく解説し、外部設計と内部設計の具体的な手法、効率的な設計書作成のコツまで実務に役立つ情報を紹介します。
目次
基本設計とは?システム開発における役割と重要性
基本設計の定義と目的
基本設計とは、システム開発において要件定義書をもとに、システムの全体像を具体的に設計する工程です。基本設計書は、システムの機能を実現するために必要な設計情報を文書化した成果物であり、システム開発の成功を左右する重要な役割を果たします。
基本設計の目的は、要件定義で明確化された業務要件を技術的に実現可能な形で具体化し、システム設計の基盤を構築することです。設計書を作成することで、システムの外部インターフェースや機能を明確に定義し、後続の詳細設計工程において開発者が迷うことなく作業を進められる状態を作り出します。
システム開発工程における基本設計の位置づけ
システム開発のウォーターフォール型開発工程では、基本設計は要件定義の後に実施される重要な工程です。基本設計書は、要件定義書の内容を受けて作成され、詳細設計の成果物につながる橋渡しの役割を担います。
基本設計では、システムの全体構成やアーキテクチャを決定し、外部設計と内部設計の両方を含む設計書を作成します。この工程で作成される設計書は、システム開発の成果物として重要な位置づけを持ち、プロジェクトの品質を大きく左右します。
基本設計が重要な理由
基本設計が重要な理由は、システム全体の設計方針を決定し、開発チーム全体の共通認識を形成するからです。基本設計書が適切に作成されることで、後続の詳細設計工程での手戻りを防ぎ、システム開発の効率を大幅に向上させることができます。
また、基本設計書は、システムの外部インターフェース設計や非機能要件の定義を含むため、システム全体の品質を担保する重要な成果物として位置づけられています。設計書の品質が低い場合、システム開発全体に大きな影響を与える可能性があります。

基本設計と詳細設計の違い|要件定義からの流れ
要件定義から基本設計への移行
要件定義の成果物である要件定義書をもとに、基本設計工程では具体的なシステム設計を行います。要件定義では「何を実現するか」を明確にしましたが、基本設計では「どのように実現するか」を具体的に設計します。
基本設計では、要件定義書に記載された業務要件を技術的な観点から分析し、システムの機能を実現するための設計を行います。設計書を作成する際は、要件定義の内容を正確に理解し、システムの全体像を明確にすることが重要です。
基本設計と詳細設計の明確な違い
基本設計と詳細設計の違いは、設計の抽象度と具体性にあります。基本設計は「何を作るか」を外部的な観点から設計し、詳細設計は「どう作るか」を内部的な観点から設計します。
基本設計では、システムの外部インターフェースや画面設計、帳票設計など、ユーザーから見える部分の設計を中心に行います。一方、詳細設計では、プログラムの内部構造やデータベース設計、処理フローなど、技術的な実装レベルの設計を行います。
基本設計書はシステムの全体像を示すのに対し、詳細設計書はプログラマーが実際にコーディングを行うための具体的な設計情報を提供するという違いがあります。
各工程で作成される成果物の比較
基本設計工程では、以下の成果物を作成します。
- 基本設計書(システム全体の設計書)
- 外部設計書(ユーザーインターフェース設計)
- システム構成図
- 業務フロー図
- 非機能要件定義書
詳細設計工程では、基本設計書をもとに以下の成果物を作成します。
- 詳細設計書(プログラム仕様書)
- データベース設計書
- 処理フロー図
- テスト仕様書
- 結合テスト仕様書
基本設計の成果物は、システム全体の設計方針を示すのに対し、詳細設計の成果物は、実装レベルの具体的な設計情報を提供するという違いがあります。

基本設計書の構成要素と必要な成果物
基本設計書に含めるべき項目一覧
基本設計書は、システム設計の基盤となる重要な成果物として、以下の項目を含める必要があります。まず、システム全体の概要と設計方針を記載し、システムの目的と範囲を明確にします。
基本設計書には、システムの機能要件と非機能要件を詳細に記載し、要件定義書との整合性を確保します。また、システムの外部インターフェース設計や内部設計の概要も含めることが重要です。
業務フロー図とシステム機能設計
基本設計書では、業務フローを図式化し、システムの機能を明確に定義します。業務フロー図は、システムがどのような業務プロセスを支援するかを視覚的に示すため、ステークホルダーの理解を促進する重要な成果物です。
システム機能設計では、各機能の詳細な仕様を定義し、機能間の関係を明確にします。設計書を作成する際は、要件定義書の内容を正確に反映し、システムの機能を具体的に設計することが重要です。
画面設計・帳票設計・バッチ設計
基本設計書では、ユーザーインターフェースの設計として画面設計と帳票設計を詳細に記載します。画面設計では、各画面の項目配置や操作フローを定義し、ユーザビリティを考慮した設計を行います。
帳票設計では、システムから出力される帳票の仕様を定義し、業務要件を満たす帳票の設計を行います。また、バッチ設計では、システムで実行されるバッチ処理の仕様を定義し、処理タイミングやデータ処理の流れを明確にします。
外部インターフェース設計と非機能要件
外部インターフェース設計は、システムが他のシステムとどのように連携するかを定義する重要な設計です。外部インターフェースの仕様を明確に定義することで、システム間の連携を円滑に行うことができます。
非機能要件では、システムの性能、可用性、セキュリティなどの品質要件を定義します。設計書には、これらの要件を満たすための設計方針と具体的な対策を記載し、システムの品質を担保することが重要です。基本設計書は、これらの要素を総合的に含む成果物として、システム開発の成功を支える重要な役割を果たします。

基本設計の進め方|4つのステップで解説
ステップ1:要件定義書の内容確認と分析
基本設計を進めるにあたり、まず要件定義書の内容を詳細に確認し分析することが重要です。要件定義の段階で定められた機能要件と非機能要件を明確に理解し、システム設計の方向性を決定します。要件定義書をもとに、どのような機能を実装するのかを具体的に把握し、基本設計書の作成に必要な情報を整理することが基本設計工程の成功につながります。
要件定義書の分析では、業務フローや機能要件、非機能要件を詳細に確認し、システムの全体像を把握することが重要な作業となります。この段階で要件定義との整合性を確保し、基本設計の方向性を明確に定めることで、後続の詳細設計工程での手戻りを防ぐことができます。
ステップ2:システム設計の実施
要件定義書の分析が完了したら、システム設計を実施します。システム設計では、外部設計と内部設計の両方を検討し、システムの構成図を作成します。外部設計では、ユーザーインターフェースや外部インターフェースの設計を行い、内部設計では、システムの内部構造やデータフローを設計します。
システム設計の実施においては、機能を具体的に定義し、システムの全体構成を明確にすることが重要です。この段階で作成される成果物は、基本設計書の中核となる内容であり、詳細設計への重要な引き継ぎ資料となります。設計を行う際は、要件定義で定められた制約条件を考慮し、実現可能な設計を心がけることが必要です。
ステップ3:基本設計書の作成
システム設計が完了したら、基本設計書を作成します。基本設計書は、システム開発の重要な成果物であり、詳細設計の基盤となる文書です。基本設計書の作成では、システムの機能設計、画面設計、帳票設計、バッチ設計、外部インターフェース設計などを含めた包括的な設計書を作成することが重要です。
基本設計書を作成する際は、設計書の構成を統一し、後続工程での理解しやすさを重視することが必要です。設計書には、システムの全体構成図、機能一覧、画面遷移図、データフロー図などを含め、基本設計書は詳細設計工程での作業効率を向上させる重要な成果物として位置づけられます。
ステップ4:レビューと品質確認
基本設計書の作成が完了したら、レビューと品質確認を実施します。レビューでは、要件定義書との整合性、設計の妥当性、実装可能性などを確認し、基本設計の品質を向上させます。品質確認では、設計書の記載内容の正確性、完全性、一貫性を確認し、詳細設計への引き継ぎに問題がないかを検証します。
レビューと品質確認は、基本設計工程の最終段階であり、プロジェクトの成功に直結する重要な作業です。この段階で発見された問題点や改善点を適切に対応することで、詳細設計工程での手戻りを最小限に抑えることができます。

外部設計と内部設計の具体的な進め方
外部設計の作業内容と成果物
外部設計は、ユーザーから見たシステムの外部仕様を設計する工程です。外部設計では、ユーザーインターフェース、画面設計、帳票設計、外部インターフェース設計などを実施し、システムの外部仕様を明確に定義します。外部設計の成果物としては、画面設計書、帳票設計書、外部インターフェース設計書などが作成されます。
外部設計を進める際は、ユーザビリティを重視し、利用者にとって使いやすいシステムを設計することが重要です。また、外部システムとの連携を考慮し、外部インターフェースの設計を適切に行うことで、システム全体の整合性を保つことができます。
内部設計における設計方針の決定
内部設計は、システムの内部構造や処理フローを設計する工程です。内部設計では、システムの論理的な構成、データ構造、処理フロー、モジュール構成などを設計し、システムの内部仕様を明確に定義します。内部設計では、システムの性能、保守性、拡張性を考慮した設計方針を決定することが重要です。
内部設計における設計方針の決定では、システムの非機能要件を満たすための技術的な検討を行い、最適な設計方針を選択します。この段階で作成される成果物は、詳細設計での実装方針を決定する重要な資料となります。
外部インターフェース設計の重要なポイント
外部インターフェース設計は、システムと外部システムとの連携を設計する重要な工程です。外部インターフェース設計では、データの入出力形式、通信プロトコル、エラー処理、セキュリティ対策などを詳細に設計します。外部インターフェース設計の品質は、システム全体の安定性に大きく影響するため、慎重な設計が必要です。
外部インターフェース設計では、外部システムとの連携における例外処理やエラーハンドリングを適切に設計することが、システムの信頼性向上に重要です。また、将来的な外部システムの変更に対応できる柔軟性を持たせることで、システムの保守性を向上させることができます。

基本設計書作成時の効率的な手法とツール活用
設計書作成の効率化テクニック
基本設計書の作成効率を向上させるためには、標準的なフォーマットの活用と作業手順の最適化が重要です。設計書のテンプレートを整備し、過去のプロジェクトの成果物を参考にすることで、作業時間を短縮できます。また、設計書の構成を統一し、記載内容の標準化を図ることで、品質の向上と作業効率の改善を両立できます。
設計書作成の効率化では、チーム内での役割分担を明確にし、並行作業を可能にすることが重要です。機能別や業務別に担当者を割り当て、定期的な進捗確認を行うことで、プロジェクト全体の進行管理を効果的に行うことができます。
CADツールと設計支援ツールの活用
基本設計書の作成においては、CADツールや設計支援ツールの活用が作業効率の向上に寄与します。これらのツールを使用することで、システムの構成図や画面設計図を効率的に作成できます。また、設計書の自動生成機能を活用することで、手作業による記載ミスを防ぐことができます。
設計支援ツールの導入により、設計書の品質向上と作業効率の改善を同時に実現できます。ツールの機能を最大限に活用し、基本設計書の作成プロセスを標準化することで、プロジェクトの成功率を向上させることができます。
管理方法とフォーマットの統一
基本設計書の管理方法とフォーマットの統一は、プロジェクトの成功に欠かせない要素です。設計書のバージョン管理を適切に行い、変更履歴を明確に記録することで、設計書の品質を維持できます。また、フォーマットの統一により、チーム内でのコミュニケーションが円滑になり、作業効率が向上します。
設計書の管理では、文書管理システムの活用や定期的なバックアップの実施が重要です。これらの取り組みにより、設計書の紛失や破損を防ぎ、プロジェクトの継続性を確保できます。

基本設計工程での品質向上のポイント
レビュー観点とチェックリスト
基本設計の品質向上のためには、体系的なレビュー観点とチェックリストの活用が重要です。レビューでは、要件定義書との整合性、設計の妥当性、実装可能性、保守性などを確認します。チェックリストを活用することで、レビューの品質を標準化し、見落としを防ぐことができます。
レビュー観点には、機能面での確認だけでなく、非機能要件の考慮、外部インターフェースの整合性、システムの拡張性なども含めることが重要です。これらの観点を体系的に整理し、プロジェクトメンバー全体で共有することで、基本設計の品質を向上させることができます。
ステークホルダーとのコミュニケーション方法
基本設計工程では、ステークホルダーとの効果的なコミュニケーションが品質向上に大きく寄与します。定期的な進捗報告と設計内容の確認を行い、関係者間での認識共有を図ることが重要です。また、設計内容について疑問点や懸念事項がある場合は、早期に解決することで、後続工程での問題発生を防ぐことができます。
ステークホルダーとのコミュニケーションでは、技術的な内容を分かりやすく説明し、業務担当者の理解を促進することが重要です。設計書の内容について、具体的な例を用いて説明することで、関係者の理解を深め、プロジェクトの成功につなげることができます。
要件定義との整合性確保
基本設計工程での品質向上において、要件定義との整合性確保は最も重要なポイントの一つです。要件定義書で定められた機能要件と非機能要件を基本設計に適切に反映し、設計内容の妥当性を確認することが必要です。また、要件定義の変更があった場合は、基本設計への影響を評価し、適切な対応を行うことが重要です。
要件定義との整合性確保では、トレーサビリティの管理が重要な要素となります。要件定義の各項目が基本設計のどの部分に反映されているかを明確にし、漏れや重複がないかを確認することで、設計の品質を向上させることができます。

基本設計でよくある課題と解決方法
設計範囲の曖昧さへの対処法
基本設計を進める際に最も頻繁に発生する課題は、設計範囲の曖昧さです。要件定義書の内容が不明確な場合、基本設計書を作成する際にどのような機能を詳細に設計するかが明確になりません。この課題に対処するためには、要件定義の内容を再度確認し、ステークホルダーとの合意形成を徹底することが重要です。
具体的には、要件定義書を基に基本設計の範囲を明確に定義し、システム設計の対象となる機能を一覧化します。基本設計書には、どのような機能をどの程度の詳細度で設計するかを記載し、設計書の作成範囲を明確にしておくことが必要です。
また、基本設計と詳細設計の境界線を明確にし、それぞれの工程で作成される成果物の種類と内容を事前に合意しておくことも重要な対策となります。システム開発の工程において、基本設計では外部設計を中心に進め、詳細設計では内部設計を重点的に行うという役割分担を明確にします。
成果物の品質向上における重要な考慮事項
基本設計書は、詳細設計の基盤となる重要な成果物です。設計書の品質が低いと、後続の詳細設計工程で多くの手戻りが発生し、システム開発全体の品質とスケジュールに大きな影響を与えます。
成果物の品質向上のためには、基本設計書の作成時にレビューを段階的に実施することが重要です。設計書を作成した後は、要件定義書との整合性を確認し、システムの機能要件と非機能要件が適切に設計されているかを検証します。
外部インターフェース設計においては、他システムとの連携仕様を明確に定義し、データ形式や通信方式について詳細に記載することが必要です。また、システム設計では、将来の拡張性や保守性を考慮した設計方針を策定し、設計書にその考え方を明記します。
プロジェクト規模別の進め方のコツ
システム開発プロジェクトの規模によって、基本設計の進め方は大きく異なります。大規模プロジェクトでは、基本設計書を機能別やサブシステム別に分割し、複数の設計者が並行して作業を進めることが一般的です。
小規模プロジェクトでは、基本設計と詳細設計を統合的に進めることも可能ですが、成果物の品質を保つためには、各工程での成果物を明確に定義し、適切なレビューを実施することが重要です。
中規模プロジェクトでは、基本設計書の作成を段階的に進め、重要な機能から順次設計を固めていくアプローチが効果的です。システム設計では、全体アーキテクチャを最初に確定し、その後に個別機能の詳細化を進めます。

システム開発プロジェクトにおける基本設計の進行管理
基本設計工程のスケジュール管理
基本設計工程のスケジュール管理では、要件定義の完了から詳細設計の開始までの期間を適切に設定することが重要です。基本設計書の作成には、システムの規模と複雑さに応じて十分な時間を確保する必要があります。
スケジュール管理において重要なのは、基本設計の各タスクに対する進捗状況を定期的に確認し、遅延が発生した場合の対応策を事前に検討しておくことです。基本設計書の作成作業は、設計書の種類ごとに担当者を明確にし、各成果物の完成目標日を設定します。
基本設計では、外部設計と内部設計を並行して進めることで、全体的な作業効率を向上させることができます。ただし、外部インターフェース設計が他システムとの調整を伴う場合は、早期に着手し、十分な調整期間を確保することが重要です。
詳細設計への効果的な引き継ぎ方法
基本設計から詳細設計への引き継ぎは、システム開発の成功にとって極めて重要なプロセスです。基本設計書は、詳細設計の作業指針となるため、詳細設計の担当者が理解しやすい形で作成し、引き継ぎを行う必要があります。
引き継ぎでは、基本設計書に記載された設計方針と設計根拠を明確に説明し、詳細設計で検討すべき課題や留意点を整理して伝達します。また、基本設計と詳細設計の境界線を明確にし、詳細設計で新たに検討すべき項目を具体的に示します。
システム設計の全体像を詳細設計の担当者と共有し、各機能の設計意図や技術的な制約条件についても詳しく説明することが重要です。これにより、詳細設計での手戻りを最小限に抑え、品質の高い成果物を作成することができます。
プロジェクト成功のための重要なポイント
基本設計工程におけるプロジェクト成功のためには、ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、設計内容について定期的に合意形成を図ることが重要です。基本設計書の作成過程では、業務担当者との確認会議を設け、設計内容が業務要件を満たしているかを検証します。
また、基本設計の品質を確保するためには、設計書のレビューを複数回実施し、技術的な妥当性と業務的な妥当性の両面から検証することが必要です。システム設計では、将来の保守性や拡張性も考慮し、長期的な視点での設計方針を策定します。
基本設計の成果物は、詳細設計だけでなく、テスト設計や運用設計の基盤となるため、各工程での活用を想定した設計書を作成することが重要です。これにより、システム開発全体の効率化と品質向上を実現できます。

基本設計の進め方に関するよくある質問(FAQ)
基本設計書の作成期間はどの程度必要?
基本設計書の作成期間は、システムの規模と複雑さによって大きく異なります。一般的に、中規模のシステム開発では2〜4ヶ月程度、大規模システムでは4〜8ヶ月程度の期間を要します。基本設計では、要件定義の内容を基にシステム設計を行い、外部設計と内部設計の両方を含む設計書を作成する必要があります。設計書の作成に加えて、ステークホルダーとのレビューや合意形成の時間も考慮し、十分な期間を確保することが重要です。
基本設計と詳細設計の境界線はどう決める?
基本設計と詳細設計の境界線は、システム設計の観点から明確に定義する必要があります。基本設計では、システムの全体構成や主要な機能の設計を行い、外部インターフェース設計や画面設計の概要を決定します。詳細設計では、基本設計書を基に具体的な処理ロジックやデータ構造を詳細化し、プログラミングに必要な仕様を明確にします。境界線を決める際は、プロジェクトの特性と開発チームの体制を考慮し、各工程で作成される成果物の種類と内容を事前に合意することが重要です。
外部設計と内部設計はどちらを先に進めるべき?
基本設計では、外部設計を先に進めることが一般的です。外部設計では、ユーザーから見えるシステムの機能や操作方法を定義し、画面設計や帳票設計などの成果物を作成します。外部設計が完了した後に、その要件を実現するための内部設計を進めます。ただし、システムの特性によっては、外部設計と内部設計を並行して進めることも可能です。外部インターフェース設計については、他システムとの調整が必要な場合は早期に着手し、十分な検討期間を確保することが重要です。
基本設計書のレビューは誰が行うべき?
基本設計書のレビューは、複数の関係者が参加して実施することが重要です。技術的な観点からは、システム設計の専門家や詳細設計の担当者がレビューを行い、設計の妥当性と実現可能性を検証します。業務的な観点からは、業務担当者やプロジェクトマネージャーがレビューを行い、要件定義との整合性を確認します。また、品質保証の観点から、第三者による独立したレビューを実施することも効果的です。レビューでは、設計書の内容だけでなく、成果物の完成度や詳細設計への引き継ぎ準備状況も確認します。
要件定義書が不完全な場合の対処法は?
要件定義書が不完全な場合、基本設計を進める前に要件の明確化を行うことが重要です。まず、要件定義書の不完全な部分を特定し、どのような情報が不足しているかを整理します。その後、業務担当者やステークホルダーとの協議を通じて、不足している要件を明確にし、要件定義書を更新します。基本設計書を作成する際は、確定した要件と未確定の要件を明確に区別し、未確定部分については仮定条件を設定して設計を進めます。設計書には、仮定条件とその影響範囲を明記し、要件が確定した際の設計変更の影響度を評価しておくことが重要です。