システム開発における外部設計は、要件定義をもとにユーザーが見える部分の設計を行う重要な工程です。しかし、「具体的にどのように進めればよいか分からない」「外部設計と内部設計の違いが曖昧」という悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。本記事では、外部設計の基本概念から具体的な進め方、設計書の作成方法まで、実践的なノウハウを交えて詳しく解説します。
目次
外部設計とは何か？システム開発における基本概念を解説
外部設計の定義と目的
外部設計とは、システム開発プロセスにおいて、ユーザーから見たシステムの機能や操作方法を詳細に設計する工程のことです。要件定義書をもとに、どのような機能を実装し、ユーザーがどのようにシステムを操作するかを明確にしていきます。
外部設計の主な目的は、発注者やクライアントの要求を具体的なシステムの形として表現することです。外部設計では、画面の構成やデータの入出力、業務フローなど、ユーザーが直接触れる部分を設計します。これにより、システムの仕様を関係者全員が理解できる形で文書化していきます。
外部設計は基本設計とも呼ばれ、内部設計の前段階として位置づけられます。外部設計書には、機能仕様書、画面設計書、帳票設計書などが含まれ、これらの設計書を通じてシステムの全体像を明確にしていきます。
システム開発全体における外部設計の位置づけ
システム開発の流れにおいて、外部設計は要件定義の次に行われる重要な工程です。要件定義で決定された業務要件や機能要件を具体的なシステム仕様に落とし込む役割を担います。
外部設計では、要件定義書の内容を詳細に分析し、システムの機能を設計していきます。この段階で、ユーザーインターフェースの設計やデータの流れを明確にすることで、後続の内部設計での作業を効率化できます。
外部設計の成果物は、内部設計の基盤となるため、システム開発プロジェクト全体の品質を左右する重要な工程と言えます。外部設計が適切に行われていないと、内部設計や実装工程で大きな手戻りが発生する可能性があります。
外部設計が重要な理由
外部設計は、システム開発において極めて重要な工程です。その理由は、外部設計がユーザーの要求を技術的な実装に橋渡しする役割を果たすからです。
外部設計書を作成することで、発注者とシステム開発者の間で認識の齟齬を防ぐことができます。また、外部設計で決定した内容は、後続の内部設計や実装工程の指針となるため、プロジェクト全体の方向性を決定づける重要な成果物となります。
さらに、外部設計では、システムの機能要件だけでなく、性能要件やセキュリティ要件などの非機能要件も設計対象に含まれます。これらの要件を外部設計段階で明確にしておくことで、システムの品質を確保できます。
外部設計と内部設計の違いとは？役割と責任範囲を明確化
外部設計の特徴と対象範囲
外部設計は、ユーザーから見たシステムの仕様を定義する工程です。外部設計では、システムの「何を」「どのように」を明確にしていきます。
外部設計の対象範囲には以下のような項目が含まれます：
- 機能仕様の詳細設計
- 画面設計とユーザーインターフェース設計
- 帳票設計と出力仕様
- データの入出力仕様
- 外部システムとのインターフェース設計
- セキュリティ要件と権限設計
外部設計書には、これらの仕様を詳細に記述し、システムの全体像を明確にしていきます。外部設計は、クライアントや発注者が内容を理解できる形で作成されるのが一般的です。
内部設計の特徴と対象範囲
内部設計は、外部設計で決定された仕様を実際のシステムとして実装するための技術的な設計を行う工程です。内部設計では、システムの「どのように作るか」を明確にしていきます。
内部設計の対象範囲には以下のような項目が含まれます：
- プログラム構造の設計
- データベース設計とテーブル構造
- モジュール分割とクラス設計
- アルゴリズムと処理ロジック
- 技術的なアーキテクチャ設計
- パフォーマンス最適化の設計
内部設計書は、主に開発者やプログラマーが参照する技術文書となります。内部設計では、外部設計で決定された仕様を効率的かつ確実に実装するための技術的な詳細を設計していきます。
外部設計と内部設計の関係性
外部設計と内部設計は、システム開発において相互に補完し合う関係にあります。外部設計で決定された仕様をもとに、内部設計で技術的な実装方法を設計するという流れになります。
外部設計と内部設計の違いを明確にすることで、各工程での責任範囲が明確になり、プロジェクト管理が効率化されます。外部設計では、ユーザーの視点から見たシステムの要件を満たすことに重点を置き、内部設計では、それを実現するための技術的な最適解を追求します。
両者の連携が適切に行われることで、ユーザーの要求を満たしながら、技術的にも優れたシステムを開発することができます。外部設計書と内部設計書の整合性を保つことが、システム開発の成功には不可欠です。
外部設計で決める内容とは？設計対象の全体像を把握
機能設計で決定する項目
外部設計における機能設計では、システムが提供する機能の詳細を設計していきます。要件定義書で定義された機能要件を具体的なシステム仕様に落とし込む作業を行います。
機能設計で決定する主な項目は以下の通りです：
- 各機能の詳細仕様と処理フロー
- 業務ルールとビジネスロジック
- データの入力・更新・削除の仕様
- 検索機能と絞り込み条件
- 集計・計算処理の仕様
- バッチ処理とスケジュール実行
機能設計では、どのような機能を実装するか、その機能がどのような処理を行うかを明確にしていきます。また、機能間の連携や依存関係も設計対象に含まれます。
画面設計・帳票設計の内容
外部設計では、ユーザーが操作する画面の設計と、システムが出力する帳票の設計を行います。これらの設計は、ユーザビリティに直接影響する重要な要素です。
画面設計では、以下の内容を決定していきます：
- 画面レイアウトと項目配置
- 入力フィールドと選択肢の仕様
- ボタン配置と操作フロー
- エラーメッセージとバリデーション
- 画面遷移とナビゲーション
帳票設計では、出力される帳票の形式、項目、レイアウトなどを設計します。また、帳票の出力条件や印刷設定なども設計対象に含まれます。
データ設計とインターフェース設計
外部設計では、システムで扱うデータの構造と外部システムとの連携仕様を設計します。データ設計では、データの定義と関連性を明確にしていきます。
データ設計で決定する内容：
- データ項目の定義と属性
- データの形式と制約条件
- マスタデータの構造
- データの入出力の詳細設計
インターフェース設計では、外部システムとの連携方法を設計します。APIの仕様、データ交換形式、通信プロトコルなどを明確にしていきます。
非機能要件の設計項目
外部設計では、機能要件だけでなく、非機能要件も重要な設計対象となります。非機能要件は、システムの品質や性能に関わる要件です。
非機能要件の主な設計項目：
- 性能要件とレスポンス時間
- セキュリティ要件と認証方式
- 可用性要件とシステム稼働時間
- 拡張性要件とスケーラビリティ
- 運用要件とメンテナンス性
これらの非機能要件を外部設計段階で明確にしておくことで、システムの品質を確保し、運用時の問題を防ぐことができます。外部設計書には、これらの要件を具体的に記述し、内部設計での実装に向けた指針を提供します。
外部設計の具体的な進め方：5つのステップで完全解説
ステップ1：要件定義書の分析と整理
外部設計の進め方として、まず要件定義書の分析と整理を行います。要件定義書をもとに、システムで実現すべき機能を明確にし、外部設計で対応すべき範囲を特定します。
この段階では、要件定義書に記載された機能要件と非機能要件を詳細に分析し、外部設計で具体化すべき項目を抽出します。クライアントの要求を正確に理解し、システム開発の方向性を定めることが重要です。
具体的には、以下の項目を整理してください。
- 機能要件の詳細内容と優先度
- 非機能要件の具体的な数値目標
- システムの利用者と利用シーン
- 既存システムとの連携要件
- セキュリティ要件とコンプライアンス
ステップ2：システム全体構成の設計
外部設計では、システム全体の構成を設計します。システムの全体像を把握し、各機能がどのように連携するかを明確にしていきます。
システム構成の設計では、ハードウェア構成、ソフトウェア構成、ネットワーク構成を含めた全体的な設計を行います。この段階で、システムの基本的な構造と技術的な方向性を決定します。
設計書には、以下の内容を含めることが一般的です。
- システム全体のアーキテクチャ図
- サーバー構成とインフラ設計
- データベース設計の概要
- 外部システムとの連携方式
- セキュリティ対策の基本方針
ステップ3：機能仕様の詳細設計
外部設計の中核となる機能仕様の詳細設計を行います。システムの各機能について、どのような処理を行うのか、どのような入出力データを扱うのかを詳細に設計します。
機能設計では、業務フローに沿って各機能の詳細を設計していきます。外部設計では、システムの外部から見える機能の仕様を明確にし、内部設計へとつなげていく重要な工程です。
機能仕様書に記載する主な内容は以下の通りです。
- 各機能の処理概要と詳細仕様
- 入出力データの詳細設計
- 業務ルールとビジネスロジック
- エラー処理と例外処理の方針
- バッチ処理とオンライン処理の設計
ステップ4：ユーザーインターフェースの設計
外部設計では、ユーザーインターフェースの設計を行います。システムの使いやすさに直結する重要な部分であり、クライアントの要求を具体的な画面や帳票として表現します。
画面設計では、ユーザーの操作性を考慮した画面レイアウトと画面遷移を設計し、業務効率の向上を図ります。また、帳票設計では、出力される帳票の形式と内容を詳細に決定します。
ユーザーインターフェース設計で検討すべき項目は以下の通りです。
- 画面レイアウトとデザイン仕様
- 画面遷移とナビゲーション設計
- 入力項目の妥当性チェック
- 帳票の出力形式と内容
- モバイル対応とレスポンシブデザイン
ステップ5：設計書のレビューと承認
外部設計書が完成したら、設計書のレビューと承認プロセスを実施します。設計書の品質を確保し、クライアントとの認識齟齬を防ぐための重要なステップです。
レビューでは、外部設計書の内容が要件定義書と整合しているか、設計内容に漏れや矛盾がないかを確認します。また、クライアントによる承認を得て、内部設計への移行準備を整えます。
外部設計書の作成方法とは？実践的な書き方ガイド
外部設計書の基本構成と必要項目
外部設計書の基本構成は、システムの全体像から詳細仕様まで段階的に記述する構造になっています。設計書には、システムの外部仕様を明確に記載し、内部設計に必要な情報を提供することが重要です。
外部設計書の基本構成は以下の通りです。
- システム概要と全体構成
- 機能仕様と業務フロー
- 画面設計と帳票設計
- データ設計とインターフェース設計
- 非機能要件の詳細仕様
効果的な設計書作成のポイント
効果的な外部設計書を作成するためには、読み手の視点に立った分かりやすい文書作成が重要です。設計書は、開発チームだけでなく、クライアントや関係者も理解できる内容にしなければなりません。
設計書の品質を向上させるためには、統一的な記述方法と明確な表現を心がけ、図表を効果的に活用することが大切です。また、設計書のバージョン管理と変更履歴の管理も重要なポイントです。
図表を活用した分かりやすい設計書作成
外部設計書では、図表を活用して視覚的に分かりやすい文書を作成します。システムの複雑な構造や処理フローを図表で表現することで、関係者の理解を促進できます。
設計書に含める主な図表は以下の通りです。
- システム構成図とアーキテクチャ図
- 業務フロー図とデータフロー図
- 画面遷移図と画面レイアウト図
- データベース設計図
- ネットワーク構成図
クライアント向け設計書の書き方
クライアント向けの外部設計書は、技術的な詳細よりも業務的な観点からシステムの仕様を説明することが重要です。クライアントが理解しやすい言葉で記述し、システムの価値や効果を明確に伝えます。
クライアント向け設計書では、システムの機能がどのように業務を改善するのか、どのような効果が期待できるのかを具体的に示すことが大切です。また、操作手順や運用方法についても分かりやすく説明します。
要件定義と外部設計の関係性：スムーズな連携方法
要件定義書をもとにした外部設計の進め方
要件定義と外部設計の関係性は、システム開発の成功に大きく影響します。要件定義書をもとに外部設計を進めることで、クライアントの要求を正確にシステムに反映できます。
要件定義書に記載された内容を外部設計で具体化する際は、要件の解釈に誤りがないよう注意深く進めることが重要です。また、要件定義で明確にされていない部分については、クライアントとの協議を通じて明確化を図ります。
要件定義と外部設計の整合性確保
要件定義と外部設計の整合性を確保することは、システム開発の品質向上に不可欠です。外部設計の各段階で、要件定義書との整合性を確認し、齟齬がないことを確認します。
整合性確保のためには、要件定義書と外部設計書の対応関係を明確にし、トレーサビリティを確保することが重要です。また、定期的なレビューを実施し、要件定義からの乖離を防ぎます。
要件変更に対応する外部設計の調整方法
システム開発では、要件変更が発生することが一般的です。要件変更に対応する外部設計の調整方法を確立し、柔軟に対応できる体制を整えることが大切です。
要件変更が発生した場合は、変更の影響範囲を分析し、外部設計への影響を評価します。そして、必要に応じて外部設計書の修正を行い、関係者への周知を徹底します。
外部設計から内部設計への移行：効果的な引き継ぎ方法
内部設計に必要な外部設計の成果物
外部設計から内部設計への移行を成功させるためには、内部設計に必要な外部設計の成果物を明確にし、適切に引き継ぐことが重要です。外部設計では、内部設計で必要となる情報を漏れなく整理し、文書化します。
内部設計に引き継ぐ主な成果物は以下の通りです。
- 外部設計書と機能仕様書
- 画面設計書と帳票設計書
- データ設計書とインターフェース設計書
- システム構成図とアーキテクチャ図
- 非機能要件の詳細仕様
外部設計と内部設計の連携ポイント
外部設計と内部設計の連携ポイントを明確にし、スムーズな移行を実現します。外部設計では、内部設計で検討すべき技術的な制約や課題を整理し、内部設計チームに伝達します。
連携において重要なポイントは、外部設計で決定した仕様の背景や理由を内部設計チームに説明することです。これにより、内部設計でより適切な技術的選択を行うことができます。
設計品質を維持する移行プロセス
外部設計から内部設計への移行では、設計品質を維持するプロセスを確立することが重要です。移行時の情報の欠落や誤解を防ぎ、一貫した品質の設計を維持します。
品質維持のためには、移行時のレビューと承認プロセスを設け、外部設計と内部設計の整合性を確認します。また、移行後も定期的なコミュニケーションを取り、設計の一貫性を保つことが大切です。
外部設計における注意点とトラブル対応
外部設計でよくある問題と対策
外部設計は、システム開発における重要な工程であり、適切に進めなければ後工程に大きな影響を与えます。外部設計でよくある問題として、要件定義書の内容が曖昧なまま外部設計を進めてしまうケースが挙げられます。このような状況では、外部設計書の品質が低下し、内部設計への移行時に大幅な修正が必要となります。
外部設計を行う際は、要件定義書をもとに具体的な機能仕様を明確にしていく必要があります。システム開発の流れを把握し、外部設計の位置づけを正しく理解することが重要です。特に、外部設計では基本設計の内容を詳細化し、ユーザーから見える部分を設計していきます。
問題の対策として、以下の点に注意して外部設計を進めることが効果的です。
- 要件定義書の内容を十分に理解し、不明点はクライアントに確認する
- 外部設計書の項目を網羅的にチェックし、漏れや矛盾がないか確認する
- 定期的にクライアントとの認識合わせを行い、設計の方向性を確認する
- 外部設計と内部設計の役割分担を明確にし、適切な範囲で設計を行う
クライアントとの認識齟齬を防ぐ方法
外部設計の進め方において、クライアントとの認識齟齬は深刻な問題となります。外部設計書はユーザーが確認できる資料であるため、クライアントの期待と実際の設計内容にずれが生じないよう注意が必要です。
認識齟齬を防ぐためには、外部設計の各段階でクライアントとの合意形成を行うことが重要です。システムの機能要件や非機能要件について、どのような仕様で実装するのかを明確に示し、クライアントの理解を得ることが必要です。
効果的なコミュニケーション方法として、以下の取り組みが有効です。
- 外部設計書の内容を図表で分かりやすく表現する
- 定期的なレビュー会議を開催し、設計の進捗を共有する
- クライアントからの質問や要望に対して迅速に対応する
- 設計変更が発生した場合は、影響範囲と対応方法を明確に説明する
設計品質を確保するためのチェックポイント
外部設計の品質を確保するためには、設計書の完成度と内容の整合性を体系的にチェックすることが重要です。外部設計書は内部設計の基礎となるため、品質の高い設計書を作成することが求められます。
設計品質のチェックポイントとして、以下の項目を確認することが効果的です。機能設計においては、要件定義書で定義された機能がすべて設計に反映されているか、また、画面設計や帳票設計では、ユーザーにとって使いやすいインターフェースが設計されているかを確認します。
- 要件定義書との整合性が取れているか
- 外部設計書の記述内容に矛盾や漏れがないか
- データの入出力仕様が明確に定義されているか
- エラーハンドリングの仕様が適切に設計されているか
- 非機能要件が外部設計に適切に反映されているか
プロジェクト管理における外部設計の進捗管理
外部設計の進捗管理は、システム開発プロジェクト全体の成功に直結する重要な要素です。外部設計の遅延は、内部設計以降の工程に大きな影響を与えるため、適切な進捗管理が必要です。
進捗管理においては、外部設計の各成果物について、作成スケジュールと品質基準を明確に定義することが重要です。また、外部設計書の承認プロセスを明確にし、クライアントとの合意形成を計画的に進めることが必要です。
効果的な進捗管理を行うためには、以下の点に注意することが重要です。
- 外部設計の作業工程を細分化し、各工程の進捗を定期的に確認する
- 設計書の品質レビューを計画的に実施し、品質の向上を図る
- クライアントとの調整事項を早期に把握し、適切に対応する
- 外部設計の完了条件を明確に定義し、確実に達成する
外部設計の成果物とは？作成すべき文書とテンプレート
基本的な外部設計書の種類
外部設計では、システム開発の要件を具体的な設計仕様に落とし込んだ複数の設計書を作成します。基本的な外部設計書の種類として、機能設計書、画面設計書、帳票設計書、データ設計書、インターフェース設計書などがあります。
これらの設計書は、要件定義書をもとに作成され、内部設計の基礎資料として活用されます。外部設計書の内容は、ユーザーが確認できる範囲の仕様を記述し、システムの外部仕様を明確に定義することが重要です。
各設計書の役割と内容は以下の通りです。
- 機能設計書：システムが提供する機能の詳細仕様を記述
- 画面設計書：ユーザーインターフェースの設計内容を記述
- 帳票設計書：出力帳票の形式と内容を記述
- データ設計書：データベースの論理設計を記述
- インターフェース設計書：外部システムとの連携仕様を記述
業務フロー図とシステム構成図
外部設計においては、業務フロー図とシステム構成図を作成し、システム全体の構造と処理の流れを明確に示すことが重要です。これらの図表は、クライアントとの認識合わせや開発チームの理解促進に効果的です。
業務フロー図では、現行業務とシステム化後の業務プロセスを比較し、システムがどのように業務を支援するかを明確にします。システム構成図では、システムを構成する各要素の関係性と、データの流れを視覚的に表現します。
これらの図表作成において、以下の点に注意することが重要です。
- 業務フロー図では、業務の開始から完了までの流れを明確に示す
- システム構成図では、システムの各コンポーネントの役割を明確にする
- 図表の記号や表記方法を統一し、理解しやすい形式で作成する
- 複雑な処理については、詳細な補足説明を併記する
機能一覧表と画面設計書
機能一覧表は、システムが提供するすべての機能を体系的に整理した資料です。要件定義書で定義された機能要件を具体的な機能仕様に落とし込み、機能の分類、優先度、実装方法などを明確に記述します。
画面設計書は、ユーザーインターフェースの詳細設計を記述した資料で、外部設計の重要な成果物の一つです。画面のレイアウト、項目の配置、入力仕様、エラーメッセージなどを詳細に定義し、ユーザーにとって使いやすいインターフェースを設計します。
これらの設計書作成において、以下の内容を含めることが重要です。
- 機能一覧表：機能ID、機能名、機能概要、入出力データ、処理概要
- 画面設計書：画面ID、画面名、画面レイアウト、項目仕様、操作仕様
- 両設計書の関連性を明確にし、整合性を確保する
- ユーザビリティを考慮した設計内容を記述する
外部設計書のテンプレート活用法
外部設計書の作成効率を向上させるため、標準的なテンプレートを活用することが効果的です。テンプレートを使用することで、設計書の品質を均一化し、作成時間を短縮することができます。
テンプレートの活用においては、プロジェクトの特性に応じてカスタマイズすることが重要です。業界や業務特性に応じて、必要な項目を追加したり、不要な項目を削除したりすることで、より実用的な設計書を作成できます。
効果的なテンプレート活用のポイントは以下の通りです。
- 標準テンプレートをベースに、プロジェクト固有の要求事項を反映する
- 設計書の記述方法や表記ルールを統一する
- テンプレートの更新履歴を管理し、常に最新版を使用する
- チーム全体でテンプレートの使用方法を共有する
外部設計に関するよくある質問（FAQ）
外部設計の期間と工数について
外部設計の期間と工数は、システムの規模や複雑さによって大きく異なります。一般的に、外部設計はシステム開発全体の工程の中で15-25%程度の工数を占めることが多く、中規模のシステムでは2-4ヶ月程度の期間が必要です。
外部設計の工数見積もりにおいては、要件定義書の内容を詳細に分析し、設計対象となる機能数や画面数、帳票数などを把握することが重要です。また、クライアントとの調整回数や設計書のレビュー回数なども工数に影響するため、これらの要素を考慮した計画立案が必要です。
工数削減のためには、以下の取り組みが効果的です。
- 標準的な設計パターンやテンプレートを活用する
- 要件定義の段階で設計に必要な情報を十分に整理する
- 設計ツールを活用し、設計書作成の効率化を図る
- 経験豊富な設計者を配置し、設計品質の向上を図る
外部設計書の承認プロセスについて
外部設計書の承認プロセスは、プロジェクトの成功に直結する重要な工程です。承認プロセスでは、クライアントが外部設計書の内容を確認し、設計内容が要件を満たしているかを判断します。
承認プロセスを円滑に進めるためには、設計書の内容を分かりやすく説明し、クライアントの理解を促進することが重要です。また、承認の判断基準を明確に定義し、客観的な評価が行えるよう準備することが必要です。
効果的な承認プロセスの進め方は以下の通りです。
- 設計書の内容を段階的にレビューし、問題点を早期に発見する
- 承認者のスケジュールを考慮し、余裕を持った承認計画を立てる
- 承認結果に基づいて、必要な修正作業を迅速に実施する
- 承認後の設計変更については、変更管理プロセスに従って対応する
外部設計での変更管理について
外部設計の進行中に要件変更が発生した場合、適切な変更管理を行うことが重要です。変更管理では、変更の影響範囲を分析し、スケジュールやコストへの影響を評価した上で、変更の可否を判断します。
変更管理において注意すべき点は、変更が外部設計だけでなく、内部設計や実装工程にも影響を与える可能性があることです。そのため、変更の影響を総合的に評価し、プロジェクト全体の観点から適切な判断を行うことが必要です。
変更管理の効果的な進め方は以下の通りです。
- 変更要求の内容を詳細に分析し、影響範囲を明確にする
- 変更に伴うコストとスケジュールの変更を算出する
- 変更の必要性と優先度を評価し、実施可否を判断する
- 承認された変更については、関連する設計書を確実に更新する
外部設計の品質評価について
外部設計の品質評価は、設計書の完成度や内容の適切性を客観的に評価する重要なプロセスです。品質評価では、設計書が要件定義書の内容を適切に反映しているか、設計内容に矛盾や漏れがないかを確認します。
品質評価の基準として、設計書の完成度、要件との整合性、設計内容の妥当性、保守性などの観点から評価を行います。また、外部設計書が内部設計の基礎資料として十分な情報を提供しているかも重要な評価ポイントです。
品質評価を効果的に実施するためには、以下の取り組みが重要です。
- 評価基準を明確に定義し、客観的な評価を行う
- 複数の評価者による多面的な評価を実施する
- 評価結果に基づいて、必要な改善作業を実施する
- 評価結果をプロジェクトの知見として蓄積し、今後の改善に活用する
